PDF/Xとは?2025年の最短入稿ガイド|X-4が基本、X-6の今
目次
結論(ここだけ押さえればOK)
- PDF/Xは拡張子でも別形式でもなく、PDFの中の「印刷用ルールセット(ISO規格)」です。拡張子は .pdfのまま。
- いま主流は PDF/X-4(透明・ICCカラーを保持)。指定がなければまずこちら、取引先がX-1aのみ指定なら指示に従うのが安全です。
- PDF/X-6(PDF 2.0ベース)という新世代規格も発行済み。まだ普及途中だが今後増える見込み。
なぜ「普通のPDF」だと事故るのか
PDFは“異なる環境でも同じレイアウトで表示できる”ことを目指した汎用形式。しかし印刷機は透明効果・RGB・フォームやリンクといった画面向けの機能をそのまま解釈できないことがあり、
- 文字化け/代替フォント
- 黒が太る/色が変わる
- 透明の“分割境界”が見える
などのトラブルに繋がります。そこで印刷で不要・危険な機能を禁止/制約した“印刷用の約束事”が PDF/X(ISO 15930) です。
PDF/Xの種類(2025年版・ざっくり表)
規格 | 何ができる? | 想定の使いどころ |
---|---|---|
PDF/X-1a(2001/2003) | CMYK+特色のみ、透明は保持しない(フラット化) | レガシー指定の現場。可視化崩れ注意。 |
PDF/X-3(2002/2003) | ICC管理のRGB/Labも可(色管理前提) | 現在は採用少なめ。 |
PDF/X-4(2008/2010) | 透明・レイヤー・ICCを保持、CMYK/RGB/特色OK | 2025年の実務第一候補。 |
PDF/X-6(2020) | PDF 2.0準拠。出力インテントの柔軟化など最新機能 | 対応環境が順次拡大中。先進現場向け。 |
参考:X-1aは20年以上前の規格。透明やRGBワークフローを活かせず制約が大きい——移行を推す声が業界で強まっています(とはいえ最終判断は先方の入稿規定に従う)。
誤解を正す:PDF/Xは「別のファイル形式」ではない
PDF/XはPDFの“準拠条件”(サブセット)であり、見た目は普通のPDFと同じ。拡張子も .pdfのままです。「PDF/X以外のPDFとは完全に異なる」わけではありません。違いは 中身のルール にあります。pdfa.org
作り方(2025年のUIで確認済み)
InDesign
- ファイル → 書き出し → Adobe PDF(印刷)
- 「Adobe PDFプリセット」または「標準」から PDF/X-4(または先方指定のX)を選択
- 裁ち落とし3mm、トンボあり、画像圧縮は高品質を目安に。Adobeヘルプセンター+1
Acrobat(既存PDFをPDF/Xに整える)
- プリフライト(Preflight)で「Convert to PDF/X-4」等を適用。保存前に適合チェックも実行可能。Adobeヘルプセンターオレゴン大学デザイン技術学部
実務Tips:色と透明で迷わない
- 黒文字はK100、ベタ面はリッチブラック(例 C30 M30 Y30 K100)
- 透明効果を使うデザインはX-4を推奨(X-1aだと分割・ラスタライズで見え方が変わる)
- RGB画像:X-4なら保持可能。ただし出力側での変換に依存するため、狙いがある場合以外はCMYK統一が無難。
よくあるトラブルと回避
- “白にオーバープリント” → 出力で白が消える。白のOPは禁止。
- リンク画像の抜け → Acrobatのプリフライトで事前検査。Adobeヘルプセンター
- X-1a指定で色が変わる → RGB→CMYK変換で色ズレ。要意図的なプロファイル変換と目視確認(校正・簡易出力)。
どれを選ぶ?(判断フロー)
- 先方に入稿規定がある → 必ず従う(X-1a指定など)
- 指定なし → PDF/X-4を第一候補
- 先方・自社とも対応が進んでいる → PDF/X-6も検討(PDF 2.0ベースの将来型)
仕上げチェック(配布OKのミニ表)
- PDF/X-4(または指定のX)
- 裁ち落とし3mm+トンボ
- 画像300ppi目安/リンク切れなし
- 黒文字=K100/ベタ=リッチブラック
- 特色の有無・意図を明記
付録:入稿チェックリスト(Excel)
まとめ
- PDF/Xは“印刷で事故らないための約束事”。拡張子は .pdf のまま。
- 2025年の実務はX-4が第一候補、X-6は今後拡大。ただし先方規定が最優先。
- InDesign/Acrobatの標準機能だけで作成・検証できる。Adobeヘルプセンター+1