こんにちは。kyoです。
先週、M県にある新しく仲間に加わった会社の経営陣と話している中で、一つの「慣習」について考えさせられる機会がありました。
それは、「クリスマスに全社員へケーキを贈る」というもの。
昔ながらの会社には、こうした季節ごとの行事や、社員の皆さんへのちょっとした心遣いとして行われている慣習が多くあります。M社の場合は、地元で付き合いのある取引先から毎年購入しているとのことでした。
もちろん、社員の皆さんの日頃の労をねぎらう気持ちはとても大切です。その気持ちに水を差すつもりは毛頭ありません。
しかし、一経営者として、特に一度厳しい状況を乗り越えようとしている会社の舵取りを任された身としては、立ち止まって考えざるを得ません。
経営戦略としての「慣習」の見直し
率直に申し上げると、私はこの「ケーキの慣習」に対し、疑問符をつけました。
1. 費用対効果とメッセージ
「取引先から買っているから」という理由で行う経費が、本当に会社全体の士気向上や、私たちが目指す**「会社の絆」**を強めることに繋がっているでしょうか?
金額自体は大したものではないかもしれません。しかし、会社が苦しい時期を乗り越え、これから成長しようというフェーズにおいて、一円たりとも無駄にはできません。そして、形式的な出費は、社員の皆さんへ**「私たちはまだ、過去の延長線上にいる」**という誤ったメッセージを送りかねません。
私が大切にしたいのは、「頑張った人が報われる」というシンプルな真理です。
形式的な慣習よりも、会社が利益を出した結果としてのボーナスや、評価に直結するインセンティブに、その資金を充てる方が、はるかにお互いにとって誠実な姿勢ではないでしょうか。
2. 公平性と持続可能性
もう一つ、慣習というのは一度やると「当然のもの」になります。そして、一部の人にしか与えないという判断が非常に難しくなります。
「1人でもやめる」のは簡単ではありません。一度始めたら、全社員に公平に行き渡らせる必要が出てきます。そして、その慣習が**「会社の成長」**という本質的な課題の解決に役立たないと判断したなら、それは勇気を持って見直すべきです。
絆は「ケーキ」ではなく「成長」が作る
私の考えは明快です。
会社の仲や絆というものは、「形式的な施し」ではなく、「皆で同じ目標に向かって努力し、成果を出し、共に成長する」**過程で生まれるものです。
社員一人ひとりが、自分の仕事に誇りを持ち、正当に評価され、会社が成長した結果、誰もが胸を張れる報酬や環境が得られる。これこそが、何よりも強固な絆を築くと信じています。
慣習は、時に変革を妨げる「重り」になることがあります。
この慣習をどうするか。M社の皆さんとよく話し合い、まずは会社の理念と、私たちがこれから歩むべき戦略を共有することが先決だと感じています。
謙虚に、誠実に、そして戦略的に。
古いものに感謝しつつも、より良い未来のために変えるべきものは変える。それが、今求められる経営判断だと肝に銘じて、これからも学習を続けていきます。